僕様王子に全てを奪われて
「じゃあ、私の通帳とカードを返してよ
そしたら自分のお金で行けるでしょ?」

「どうして『行く』って決めてるんですか?」

「だって行くって言っちゃったもの」

有栖川の頬がぴくっと引きつった

「なんで僕に相談してから…とか思わないんですか」

「思わなかったもの
ぜーんぜん」

「これっぽっちも?」

「うん」

私は笑顔で頷いた

そう言えば…有栖川の顔すらも思い浮かばなかったなあ…

…なんて言ったら、怒られるから黙っておこう

「まだ愛子さんは15歳なんですよ」

「まあ…実年齢は」

「どうして成人している僕に相談しないんですか」

「え? 成人してるの?」

「愛子さん…僕は、これでも落ち着いて話をしているつもりです
感情に流されたら、僕は…」

有栖川の腕がぷるぷると震えているのがわかった

ああ…相当きてるみたい

だからって
行くって言っちゃったもの
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