僕様王子に全てを奪われて
私は有栖川の部屋のドアを開けた

電話を耳にあてたまま有栖川が、私の顔を見る

「旅行、一人で行けるけど!」

「飯島さん、すみません
またかけ直します
さっき言った2日間の調整はお願いしますね」

有栖川がパタンと携帯と折りたたむと、シングルのベッドに投げた

「僕の言った言葉を理解してますか?」

「15歳だけど
まだ大人じゃないけど
一人で行けるものは行ける」

「僕から見たら、愛子さんはまだまだ子供ですよ」

有栖川が厳しい目で私を見つめてきた

今までにないくらい、冷たい目だ

「有栖川がわからない
どうしてこんなことをするの?
なんで私の世話をしてるの?
私がここにいて、有栖川が得するようなことがある?
財産もないし、貯金だって…そんなにないし…
金食い虫で、迷惑しかかけないのに
性欲処理で置いてるのかと思えば、そうじゃないし
なんで?
意味がわからない」

「性欲処理…ですか」

有栖川がふっと笑った
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