僕様王子に全てを奪われて
有栖川とは、顔を合わさなかった

私が会いたくなかった

あんな怖い声を出して、理由も言ってくれない有栖川の顔なんて見たくない

勝手にさっさと仕事に行ってしまえ!って思ったから

有栖川がどう思っていたか

知らないけれど…いつもより1時間も早く出勤して行った

『出勤』?

会社員じゃないし…出勤っていう言葉は不釣り合いかも

自宅に戻った?

ここは愛人宅か!

「私って有栖川にとって何なんだろう?」

ベッドの上で呟いた

愛人でもない

当たりまえだけど…

有栖川は結婚してないし…たぶん

独身のはず

恋人は…いるのか? いないのか?

そんなことは知らない

私が恋人?

「…な、わけがない」

絶対に!

恋人なら、それなりのことをするだろう…

竜ちゃんと莉子さんみたいな…ことを
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