僕様王子に全てを奪われて
「文句なら有栖川に言ってよ」

「もう言ったわよ
埒があかないから、アナタに言いに来たの」

「竜ちゃんたちと旅行するって言ったら、有栖川が怒って付いていくって言いだした」

冴子が足を組んで、ため息をついた

「元許婚と旅行?
何、それ?
アナタ、遊ばれてるの?」

「は? 竜ちゃんとタッちゃんとおじさんとおばさんだよ?
竜ちゃんは莉子さんを連れていくって言ってたし
家族のいない私に、おじさんとおばさんが気をきかしてくれただけ」

「聖一郎さんに同情するわ」

「は?」

私は冴子にほうじ茶を出すと、床の上に座った

冴子は、私をちらっと見てからお茶を飲み干した

「アナタ、無防備すぎるのよ!
見ていて苛々するわ」

「はい?」

「華道界のプリンスと言っても、聖一郎さんはまだ……って
アナタに言っても無駄だわ」

なに?

そこまで言いかけたなら、最後まで言いなさいよ!

気になるじゃない
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