star dust
スーッと引いていく血の気とともに頭も冷え,周りを見渡せば好奇の目が寄せられていて



何もかもがこいつのせいだと思ったんだ




「じゃあその思ってること言えよ」



冷静…いやどちらかというと穏やかな声色で返ってきた返事に拍子抜けした



この間のこの人を見ている限りではすぐにキレて手が付けられなくなる迷惑な奴のはずなのに,この態度はなんなんだ…?




「言う必要がないんですけど」



「音緒…おまえ未緒そっくりだな」



何なんだよ


……何でそんな顔してんだよ


ほんの十数分前まではどっちかというと嫌味っぽい笑みだったのに,この人は今,すごく愛おしげに笑った



何だか自分が“意地張ってるガキ”に見えてしまう


この人がしてきた昔のこと,園でのことだって許せない……そんな俺が悪いみたいに




ガシャン!

「だっ大丈夫ですか!?」


食器が割れた音と女の人の悲鳴のような声



いつの間にかぼやけていた視界を焦点合わせ取り戻すと,目の前にいたはずの人はおらず,代わりにテーブルは赤く染まっていた


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