star dust
楽しい時間はどうしてこんなにも過ぎるのが早いのか


冬ということもあってか,まだそんなに遅い時間じゃないのに辺りは暗い


おかげでイルミネーションは綺麗に見えるんだけど



「音緒ちゃん」


「ん?」


「最後はあれがいい」


初音の希望は観覧車


“俺も同じこと思ってた”いつも言えてる言葉が何故か言えず,ただ『うん』とだけ返事をした


お礼を言って笑う初音は,可愛……いや綺麗だった


ガキじゃなくて綺麗で…今日の初音は調子が狂う



「綺麗ね…」


観覧車に乗ったらはしゃぐんじゃないかと思ってたけど,初音は小さくなっていく街並を静かに眺めていた


ゴンドラが半分の高さまで来た時,初音は思い出したように鞄をゴソゴソ探りはじめた


携帯で写真でも撮るのだろうか


……写真


あっ撮ってねぇ!!


今からでも大丈夫か



「これ貰ってくれる?」


顔を上げた先にはラッピングされたプレゼントらしきもの

もしかしなくても俺だよな…?


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