star dust
どうしたのかと羊を手に取ると,値札に1800円と印刷されていた


そして棚には2匹を一緒に買えとでも言いたげな文章が書かれていた


お金があまり残ってない初音に1匹でもキツイのに2匹は無理


純粋な初音には1匹だけ買うなんて出来ないんだろうな



「初音!
 こいつら1匹ずつ買おう」


「えっ!?」


「お揃いにしよう
 俺たちが毎日会ってれば羊は大丈夫だ」


訳分かんねぇこと言ってんのに伝わったみたいで,『一緒に帰ろう』と羊を手にした



そんないきさつでお揃いの羊のぬいぐるみがここにあるという訳



「宝物はこれからも増えるのよ−っ」


あの外出から初音は変わっていってる


色々な物事をプラスに捉え,我が儘が増えた


病室を抜け出すことも増えた


行き先は分かってるから困らないんだけど


無意識に避けてきただろう“希望”を,初音は日々そのカケラを見つけては,大切にする


今まで子供らしくなかった初音がようやく子供らしくなったんだ


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