‡姫は王子に逢いたくて…‡



今はその声を聞くのがとても辛かった。

聞きたくなかった。



『夢恵!ごめんっ。俺っ』


「日向..もういいよ。」


『よくねーよ!夢恵がよくても俺がよくねぇっ!』


「......。」


『何もねぇから!』



“なにもない”
疑わしい行動をしたからそういう言葉がでるのかな。



『先輩とはホントにあれ以来なんもねーよ!先輩彼氏ができたみてぇで、うまくいってないらしくて。ちょっと相談に乗ってたんだよ。』



「嘘をつくほど急用の相談だったの?」


抱き合ってたのはなんだったんだろう。

抑えようとする涙は自然に溢れ、
日向に嫌な言い方ばかりしてしまう。


「嘘ついて、ふたりきりで放課後会ってたら..っ...何をどう信じたらいいのっ?」



『嘘ついたのは悪かった。正直に話したら夢恵嫌がるだろうと思ったから。ホントに俺は夢恵だけだから!俺のすべてを信じろよ!!』



日向が好きだけど、
好きになればなるほど
嫉妬の気持ちは大きくなって信じることができなくなる。


それは日向が悪いわけではない。




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