‡姫は王子に逢いたくて…‡



「....ごめん..ね。日向のこと信じたいって思えば思うほど、頭が違うふうに考えて...日向といるの...苦しいの!」



わたしの顔を覗き込む日向の視線を振りほどくように
顔をぶんぶんと左右にふる。



「最近..笑顔でいられなくて...日向といると....わたし自分が自分じゃなくなっちゃう。....日向を好きになればなる程自分を見失っちゃうのっ//....ごめ....んなさいっ...」



日向に思いを伝えると
張り詰めていた糸がプツンと切れたかのように
涙が溢れてとまらなかった。



「夢恵っ......っ」



狭い観覧車の中で
日向はわたしを抱きしめた。
その大きな手はかすかに震えていた。


「ごめんっ....俺の方こそごめん!...夢恵にはいつも笑っててほしかったのに!...俺がそうさせちまった。....」


「ひっ.....なた....っ」



「..夢恵。わかった...もう無理しなくていいよ。俺達別れようっ。」



そう言った日向は
わたしから体をゆっくり離すと
やさしく口づけをした。



これは...お別れのキス。



最後のキス。



涙でいっぱいのわたしたちを乗せた観覧車は空まで昇るんじゃないかってくらい高い高い場所。
夕焼け空のてっぺんで

日向の暖かい唇は
せつないほどに震えてた。





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