‡姫は王子に逢いたくて…‡
「夢恵。帰ろ。」
日向がわたしの腰に手を回すから
わたしは立ち止まって半ベソ顔で
キッと日向を睨みつけた。
「そんな怯えんなって。とって食ったりしねぇから。」
ククッと笑って
前を歩きだす。
だってだって!
わたしたち初対面でしょーっ?
「ひっ....く」
日向の女の子の扱いに慣れすぎてる態度に無性に腹がたってきて
藤堂先輩のことも思い出したら
また悲しくなってきて
バカみたいになけてきた。
わたし..失恋しちゃったんだ。
「おいっ!」
前を行く日向が
突然クルリと後ろを振り返った。
「..藤堂なんかよりいい男なんてこの世に数え切れねーぐらいいんだって!いい加減泣きやまねぇと、またキスすんぞ。」
ドキン!
わたしの胸が音をたてた。
なんか
日向が一瞬大人に見えた。
そして
わたしは
今朝のキスを思いだす。
ドキ..
なっなんだこの鼓動はっ!!