愛してる…ただ、それだけ…
「朱里ちゃん?」
名前を呼ばれ、振り返るとそこには奏のお母さんが居た。
「あっ…こんにちは」
「お見舞いに来てくれてありがとうね。朱里ちゃんも怪我が酷いのに。」
「いえ…私が悪かったんです…本当は私が奏と同じような事になっているはずだったのに…」
私の目からぽろぽろと涙が出てきた。
泣いちゃだめだよ…
泣いちゃだめ…
「はい。もう泣かないの!」
そう言っておばさんが、私にハンカチを差し出した。
「…え…」
「奏は朱里ちゃんを守りたかったのよ。だから、ね?泣かないの。奏が起きるまでゆっくり待ちましょう?」
おばさん…
私は泣きながらこくこくと頷いた。