愛してる…ただ、それだけ…



「朱里ちゃん?」


名前を呼ばれ、振り返るとそこには奏のお母さんが居た。



「あっ…こんにちは」



「お見舞いに来てくれてありがとうね。朱里ちゃんも怪我が酷いのに。」



「いえ…私が悪かったんです…本当は私が奏と同じような事になっているはずだったのに…」



私の目からぽろぽろと涙が出てきた。



泣いちゃだめだよ…



泣いちゃだめ…



「はい。もう泣かないの!」



そう言っておばさんが、私にハンカチを差し出した。



「…え…」



「奏は朱里ちゃんを守りたかったのよ。だから、ね?泣かないの。奏が起きるまでゆっくり待ちましょう?」



おばさん…


私は泣きながらこくこくと頷いた。



< 13 / 31 >

この作品をシェア

pagetop