愛してる…ただ、それだけ…
「そうそう、朱里ちゃん。これ…」
おばさんは私に小さな細長い箱を差し出した。
「奏の部屋にあったの。箱の裏に朱里へって書いてあったから持ってきたのよ」
箱を裏返すと、お世辞にも綺麗とは言えないでも、しっかりとした奏の字で、
『朱里へ』
と書いてあった。
「中身は見てないから、安心して?そう言えば、昨日お誕生日だったんですってね。おめでとう、朱里ちゃん」
おばさんは、ぱちぱちと笑顔で拍手をしてくれた。
「どうしてそれを知ってるんですか?」
「私は超能力者だから分かったのよ!
って言うのは嘘で、事故に会う前の日に奏が言ってたの。『明後日は朱里の誕生日だから夜、内緒でパーティをするんだ。1日中居ないから。昼は準備をする』って。
何か、クラスの何人かでお祝いするって張り切ってたの。」
そんな…あの時言いかけたのってこの事?夜、会えるよって言おうと思ったの?
私が遮ったからいえなかったんだね…ごめんね、奏。