愛してる…ただ、それだけ…



「朱里!待てよ!」



後ろから私を呼ぶ声が聞こえる。



奏だ。



「もう、嫌だ。来ないでよ!!」



私は構わず走り続ける。



私が交差点に差し掛かった時



横からトラックが出てきた。



轢かれる!!




そう思った。



プーーーーーー



ドン



身体に重みを感じる。私、轢かれたのかな?



最後に聞こえたのは、



朱里って私の名前を呼ぶか細い声


そして、野次馬達の声。


救急車のサイレンの音。




「男の子が女の子を庇って轢かれたんだって!」




奏…?



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