Magician Song〜魔術師の唄〜
 
 
本来ならば王都にある魔法学園に通うべきなのだが、ある理由があるためにリアはこの父の稽古を受けているのだ。
 
 
 
その、理由とは。
 
 
 
確かに王都へ行く道のりが長いというのもある。
 
 
だが、そんなことではない。
 
 
 
 
リアは、通常魔法が一切扱えないのだ。
 
 
特殊魔法しか、使うことができないのである。
 
 
 
 
今まででリアが使えた特殊魔法は、時を止める事や素早さや体力を上げる事。
 
そして先程使った、相手の魔法を取り込み自分の魔法として再び放つ事だ。
 
 
 
通常魔法が使えない事には、学校の授業など無意味だろう。
 
そういった父に確かにと頷き、リアは学校には通わないことにしたのだ。
 
 
 
 
未だに息を荒くしていると、父がリアにコップを差し出して来た。
 
目をしばたたかせてからそれを受け取ると、そこに父が水を注ぐ。
 
 
「……コントロール、うまくなってたぞ」
 
 
「…ほんと?…よかった…」
 
 
ホッとしたようにふわりと笑えば、父は微笑みながらリアの頭を撫でた。
 
 
 
この父は以前、王都で魔法騎士団の士総長をしていた。
 
当時の年齢は27歳で、それまでの数々の記録を塗り替える、最年少士総長だったという。
 
 
本来、一人二つまでしか従わないとされている元素を四つも扱い、その魔力は最上級を超えるもの。
 
 
しまいには、自分で魔法を作ってしまうほどなのである。
 
 

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