Magician Song〜魔術師の唄〜
◇ ◇ ◇
日が、傾く。
先にリアと稽古を行っていたときは昼頃だったのだが、いつの間にか時が経ってしまっていたようだ。
それと共に、雨雲が空を覆う。
さわさわと揺れる、木々。
だが、それとは明らかに違う音が響いた。
ざざざざ、ざざざざ。
人の足音だろうか。それも、一人ではない。
複数の、だ。
だがその耳障りなそれは、しとしとと降り出した雨により徐々に消されていく。
そして。
その足音の、行く先は。
「……やぁっと、見つけたぜぇ」
ぞわりと肌が粟立つような声音に、複数の足音が一斉に止まる。
そして本格的に降り出した雨にその身を濡らしながら、一行のリーダーらしき者があるものを見上げた。
その、あるものとは。
「…アーレス様宅、到着ってなぁ」
リアとその父が住まう、小さな一軒家があった…――