Magician Song〜魔術師の唄〜
「…っあ…ぅ…っ…」
息苦しい。
そう思った瞬間、リアの視界はぱぁっと開けた。
そして、いつの間にか暗くなっている室内に目をしばたたかせる。
のそりと気だるげに体を起こし、リアは額に滲む汗をぐいと拭った。
泣きながら眠ってしまったのだろう。
リアの頬には、かさかさとした涙の痕がある。
汗で気持ち悪くなってしまった服を脱いで、キャミソールとデニムのショートパンツをはき、裾の長い上着を羽織った。
そして、静かに部屋を出る。
今はだいたい、何時頃なのだろうか。
そんなことを考えながらリビングに出ると、椅子に腰掛けていた父がハッと焦ったように顔を上げた。
そんな様子に小首を傾げながら、リアは口を開く。
「…ごめん、寝ちゃってた」
ばつが悪そうに告げると、父は顔を強張らせながら、そうかと薄く笑みを浮かべた。
「………」
おかしい。
胸の内でそう呟き、リアは唇を引き結んだ。
瞬間。
ガタン!!
突然弾かれたように立ち上がった父が、窓の外を睨み出した。
「…と、父さん?どうしたの…?」
目を丸くしながら、リアは父と同じように窓に視線を向けた。
だが、何も目に映るものはない。
何を見てるのだろうと思いながら、リアは父に視線を戻す。
すると。