Magician Song〜魔術師の唄〜
 
 
 
朝日が、瞼をくすぐる。
 
 
「…う…ん…?」
 
 
小さく呻いて、少女は寝返りをうった。
 
だんだんと意識が浮上してくる。薄く目を開け、少女は目をこすった。
 
 
瞬間。
 
 
ばん!と大きな音をたて、勢いよく部屋の扉が開けられた。
 
 
「さあ起きろー!もう朝だぞー!」
 
 
扉を開けた音よりも大きな声が、部屋にこだまする。
それを聞いた少女は不機嫌そうに眉を寄せ、のろのろと体を起こした。
 
 
「…父さん、うるさい」
 
 
「おぉっ!今日はもう起きてたのか!偉いなぁ、リア!」
 
 
がははっ!と豪快に笑い、父さんと呼ばれた男は腕を組む。
その様子に小さく嘆息し、少女――リアは微苦笑を浮かべた。
 
 
金の長い髪に、大きめの金の瞳。
キャミソールにショーパン姿のリアは、のろのろと気怠げにベットから出た。
 
 
 
 
 
 
ここはスレラ山という、東大陸の南部に位置する大きな山だ。
リアの住む家は、その山奥にある。
 
つまりは、この家だが。
 
 
 
 
 
 
「さーあ!飯できてるから食おうっ!父さんは腹が減った!!」
 
 
筋骨隆々な体をそらしながら、はっはっはっ!となぜか自信満々に言う父に、リアは苦い表情を作る。
 
 
だが、腹が減っているという点では自分も同じなので、素直にうんと頷いた。
 
 
「そうだね。あたしもお腹空いた。…先に行ってて?あたし、着替えてから行くし」
 
 
そういいながら箪笥を開ければ、父はおお、そうだなと頷く。
 
 
「早く来いよー!」
 
 
「うん、わかったー」
 
 

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