Magician Song〜魔術師の唄〜
リアが片手をかざして剣を止めた。
すると、間髪入れず父が柄から片手を離し、それをかざして叫ぶ。
「ファイア!」
「…!!」
突然放たれた炎に思わず目を剥き、リアは瞬時に腰に携えてある二対のダガーを一本だけ抜き取った。
そして。
勢いよく向かってくる炎を睨み付けながら、叫んだ。
「シリンダー・ブレイク!!」
その声と共に炎に斬りかかれば、それは真っ二つに切り裂かれる。
次の瞬間。
切り裂いた炎が、リアのダガーに渦を巻くようにして巻き付いた。
「はぁあっ!!」
声を張り上げたリアが、素早く炎を纏ったダガーを振り下ろす。
それと同時に放たれた炎が、龍の如くうねりながら先程の比にならない程の速さで父に向かった。
それを見、父は口端を吊り上げる。
「――ダーク・ホール」
父の重い言葉と共に空間に穴が開いた。
それが、リアの放った炎の龍を吸い込んでしまう。
はぁはぁと荒い息遣いがリアから漏れる。
その内に、フッと空間の穴は跡形もなく消え去った。
「―――よし。ちょっと休憩な」
リアの様子にふっと目元を和ませ、近くにあった切り株に父は腰を下ろす。
それにならい、リアも父の近くに座り込んだ。
これは、稽古だ。