いつだってマーメイド
『何のこと?』

もう、お母さん・・どうして分かってくれないの?

『サブバッグを探しているの?ソファの上にあったけど。』

『ソファ!?くそ・・むかつく。翔のバカ!お願いとってきて!早く早く!!』

『弟をバカよばわりするんじゃありません!あなたも血がつながってるのよ?ということは
つまり翔がバカなら愛理もバカってことに・・』
『とにかく急いで!』


あたしはお母さんの言葉をさえぎっていった。

こっちは時間がないんだって。ほんとに。


廊下の時計を見る。


くるくるまわる秒針。なかなかこないお母さん。




もとはといえば、自分と血がつながってるなんておもいたくない

弟・翔のせいなんだ。


姉のサブバッグをソファにもっていって隠す弟なんて!

イライラしてくる、本当。分かってくれないお母さんに

生意気な弟って最悪。


ドタバタ・・と音を立ててお母さんが戻ってきた。

右手にはあたしのサブバッグ。

『はい、とってきたよ!今日はもう遅刻なんじゃない?車でおくっていこうか?』

あたしの目が輝いた。

一気に心のもやもやも全部飛んでった。

『お願い!そうして!』
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