【 LOVERS 】
最初は、

「稜、喉渇いたバーボン」

「稜、肩もんで」

「稜、アイスが食べたい」

と単純な命令で、しかもやっぱり僕の負けば
かり・・・これ普段と変わらないんじゃ?

そしてこのホラー、深層心理がどうこうって
やつじゃなくハラハラドキドキ系のB級映画
バン――!!とかドン――!!っとか効果音
がやたら多い・・・

主人公の絶叫する顔が怖い・・・
あんたが一番怖い・・・

『わぁぁぁ!!』

クスッと繭が笑い席を立ったかと思うと戻っ
てきて、僕の首に何かを巻く。

「・・・稜、今から犬ね」

これは以前買ったコスプレの一部の首輪・・・

『あのぉ・・・繭?酔ってる?』

「ん~ん、酔ってないよ」

と言う繭の目はトロンとしていた。


酔ってらっしゃる・・・

そして明日は覚えてないんだね?


繭は酒が強い・・・

でも、本当はその相手の前じゃ酔えないだ
けかもしれないと思ったことがある。

気を使う相手、仕事関係者。

僕はよっぽど気を使わなくていい相手なのか
?どうでもいい相手?


繭は、自分が食べ残した溶けかけのカップ
アイスを手にかけたかと思うと

「・・・汚れちゃった。綺麗に舐めてね」

とその手を僕の目の前に差し出す。


あぁ・・・もう・・・

知らないよ・・・?




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