【 LOVERS 】
東京に来て3年・・・
この街にも慣れてきた頃だった。


『いらっしゃいませ』

バーカウンターの前を
案内係の茜ちゃんがお客さんを
連れて通り過ぎる。

席に座る男性客を遠目で見ながら

なしだな・・・

と心の中で呟いていた。


僕が働いてるこの店は
高級ホテルの最上階にある
スカイラウンジ。

前面ガラスで店が円形型、
東京の夜景がすべて見渡せる。

ここに来る客は、
滞在客以外にカップルも
多いが、芸能関係や著名人、
政治家、お偉いさん・・・

まぁ早い話、
金銭面でゆとりがないと入れない
高級な店だった。


僕がこの店の面接を受けに来た日、
店内の様子を見ただけで
あまりにも場違いな自分に
立ち去ろうとすると、

ここのオーナーに出くわした。

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