【 LOVERS 】
『繭!!ごめんねっ』
と稜が戻ってきた。

オレの前にしゃがんで
ビニール袋から取り出しながら

『え~っとねっ。
これが鼻水のくすりでしょ。
くしゃみにはこれだって、
後、これが総合の薬、
それでもって、これは
一緒に飲んだら効くんだって
ビタミン・・』

「それ買いに行ってたの?
たった1回オレがくしゃみ
したからって」
と口を挟んでしまった。

稜の髪からポタポタと
雫が流れていて、
そういえばさっきも傘を
オレの方にばかり傾けるから
稜の方が濡れてたなって
今さらながら気づいた。

『うん・・・
だって繭の仕事って
代わりいないでしょ?』

と不思議そうに上目遣いで
オレを見る稜に

「・・・稜が風邪ひくよ」

『大丈夫だよ。僕は平気』
と優しく笑う。

オレは自分の肩にかかった
タオルを右手で持って
稜の髪に触れると

ピクッ―
と一瞬、稜の体が動いた。

そのままファサッと頭に
タオルを被せ
コシコシと拭いてやると、
口元だけが見え

『・・・ありがとう繭』
と言って少し照れたように笑う。



なんか・・・可愛いい。

稜は自覚してんのかな?


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