【 LOVERS 】
映画を見終わる頃には
もうすっかり雨は止んでいた。

繭の洋服がまだ湿っていたから
僕の服をそのまま来て
帰ることになった。

「洋服洗って返すから」
と言う繭の言葉に

いや、出来たらそのままで
と思った僕は変態かもしれない。



初めは口実を作った。

繭に会えるための口実、
何かを貸したり、借りたり、
忘れ物をしたり、
新しいことを見つけたり、
繭は引きこもりだから僕が動いた。


仕事で会えない時も
あったけど、
それでも僕は満足してた。


奈央さんの時と同じような
穏やかな日を過ごしていた。


繭に彼氏がいるのも
わかってる。
時々、首元にKISSマークを
見つけたから・・・

僕には、彼氏はいない。
3人いたセフレを1人に絞った。
会うのが面倒だったから
それに僕を独占したがるのが
迷惑だった。

叶夜を残したのは、
家を借りてるのと、
彼女持ちだったから
僕にとって都合がよかった。


僕にだって性欲はある。

繭には・・・?

一緒にいるとドキドキした。
でも、その気持ちがバレないように
僕は必死で隠していた。

この関係を崩したら
繭に会えなくなる。

そう思ったから・・・

でも結局僕が壊してしまう


この一方的な愛の行く末なんて

最初から決まっていたのかもしれない。



繭・・・

繭は一度でも僕を好きだと

思ってくれたの?


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