【 LOVERS 】
僕はその場に放心していた。

近くを通ったカップルの声に
我にかえると

とりあえず近くにあった
電柱に腕をつき寄りかかった。


熱のせい?

クラクラする・・・


どういうこと?



どうやって戻ったのか
いつの間にか部屋にいた。

見間違いじゃない・・・

頭の中でさっき見た男

アイドル

派手な男

その時の光景が
ぐるぐる回っていた。

Kissマーク・・・?


繭に電話していた。

もし出たら何ていうつもり?


『どこにいるの?』

『今、何してるの?』

『仕事って?』


繭は電話にでなかった。

それが答えだとわかった。


繭のことが知りたかった。



でも

知りたくなかった・・・





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