【 LOVERS 】
僕は眠れないまま
・・・朝を迎えた。

熱があったことも
すっかり忘れていた。

外にでるとヒンヤリとした
冷たい空気が心地よく感じた。

多分感覚が少し
おかしかったんだと思う。

僕は缶コーヒー片手に、
近くの公園のベンチに
腰をおろした。

ハァ~・・ため息をつく
と口から白い息がでる。

缶コーヒーをカイロ
代わりに両手で握る。

もし・・・繭が通らなかったら
昨日のことは忘れよう。

もし・・・繭が通ったら?


待ち伏せみたいなことして
矛盾してるけど

繭がここを通らない
ことを祈っていた。


ベンチの上に
片膝を抱え顎をのせ

公園に目をやると、
本当に小さな公園で
ブランコと滑り台の下に砂場
後はジャングルジム。

この近辺で子供を
遊ばせるのって教育上
よくないんじゃないの?

なんて普段考えないことを
思って笑ってしまう。

「稜・・・?」

その声に瞬間、顔が凍りついた。

< 53 / 143 >

この作品をシェア

pagetop