【 LOVERS 】
「あのバカ!部屋番くらい言えよ・・・」

『・・・・助けて・・』
稜の悲痛な声が耳から離れない。

仕事を抜けて
聞いたラブホテルの名前を
頼りに探していた。

やっとホテルを見つけたものの
部屋番号がわからない。

みんなやってることは一緒。

一部屋づつノックするか?

「すみません!
うちの稜いませんか?
髪が茶色くて、綺麗な顔して
身長は170ちょいくらい?
あっ!性格は生意気ですけど
たまに笑うと可愛いんです・・・」

迷子の犬か?

稜はあの後いくらかけても
電話にでなかった。

もう一度かけてみる
やはりでない・・・

「ん?」
どこかで聞こえる稜の携帯の着信音。
その音を頼りに探していると

~・・・

「ここ?」
部屋のドアに耳をつけても
何も聞こえない。

もう一度かけてみると

《♪~♪~♪~》

少し音はこもってるけどこの部屋。

ドアは開かない、
多分オートロックだろう。

一応ノックをする俺、
万が一違ったらシャレにならない。

・・・返事はない

助けての声を思い出し
一瞬ドアから離れて
そのドアを思い切り蹴とばすと開いた。

後で弁償しないと・・・



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