【 LOVERS 】

『奈央さん･･･
どうしてあの時、
僕を選んでくれなかったの？
僕が頼りないから？
僕のこと好きじゃなかった？』

僕はずっとあの頃のまま
進めないでいた。

奈央さんは驚いた顔をして
すぐに優しい顔になった。

そしていとも簡単にあっさりと
その言葉を言った。

「大好きだったよ。」

『･･･だったらなんで？』

奈央さんがベットに
腰を下ろし少し横向き加減で
僕の顔を見て

「何でかな･･･」
と少し笑うとゆっくり話してくれた。

「･･･樹が死んだって聞いた時、
すごくショックでねっ。
私は勝手に勘違いしたの。
自殺したんだって･･･
その前に保険金の書類がうちに
届いて受け取り人は私になってるし、
金額が2億だよ。
そのことで喧嘩してた。

大きな仕事をするには、
それなりのリスクがあるって、
ついてきてくれたスタッフに
迷惑はかけれないって。

それ以外にも樹は、俺が死んだら
この家の借金はチャラになるから
家と店があればお前は生きて
いけるよねって言ってたから･･･

あの人旦那の前に経営者なの。」

と言って、奈央さんは悲しく笑った。


僕は訊いていけないことなのか
と思いながら続きが聞きたくて、
言ってしまう。

『それで･･･』