恋愛の国のありす
コンコン




「笹部です。理事長さまはいらっしゃいますか?」




今は理事長室の前。




あたしは緊張しすぎて喋れない状態だから、琉架に代わってもらった☆




「どうぞ」




はきはきとした口調に、緊張が高まる。




「し、失礼します」




カチャ




部屋に入ると、とてもじゃないけど理事長室とは思えない、綺麗な部屋だった。




家具はほとんどピンクで統一されていて、まるでどこかのお姫様になった気分だ。




「あら、あなたが噂の笹部さん?」




「はい。……って噂!?」




「こら、お姉ちゃん!」




琉架に小声で注意されながら、理事長に耳を傾ける。




「ふふ、いいのよ。あのね、あなたみたいな人、初めてなのよ。セイバートで迎えるのは」




「え、どういう意味ですか?」




「うちは有名私立で、あなたみたいな試験なしの人は初めてって意味よ」




「は、はぁ」




「そりゃあね。笹部さん一家みたいな現象、初めて聞いたわ」
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