恋愛の国のありす
愁が連れてきたのは、撮影所の裏口。




春らしい生ぬるい風が、二人の頬をなでる。




「…なぁ、亜音」




「な、なに…?愁・・・」




「そんな…悲しい顔しないでくれよな」




悲しい顔・・・?




あたし、そんな表情だった?




てゆーか、まずなんでここに愁がいるの?




「…そんなに俺がここにいる理由聞きたい?」




「へっっ!?」




「ははは。亜音って超わかりやすい(笑)」




え、あたしって“超”わかりやすい!?




「…だから、悲しい事考えてると、すぐ顔にでんの」




「…あのね、やっぱりあたし強がってたけど、ママとパパの事が忘れられないの」




「…そうか……。亜音の両親めちゃ面白かったもんなぁ」




「あはは、愁ったらやめてよ、今は冗談言う空気じゃな……「やっと笑った」




へ?




愁……あたしの気を紛らわすために、わざと冗談いってくれたの?




「愁、ありがとね。おかげで元気でた!」




「おぅ。撮影がんばってこいよ」




「うん!じゃーね」




愁がなんでここにいたのかは結局分からなかったけど、愁と喋ってると、元気でた!
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