左の草履
家に帰ると、玄関にまたあの革靴があった。
(あの人、またきてるんだ)
しかし今日はリビングからは声がしない。
(二階かなぁ?)
僕はたんたんと階段をのぼって兄ちゃんの部屋へ行った。
コンコンとノックすると、「はい」と返事がしたので「兄ちゃん、入る…よ」と言って部屋に入った。
「あ、弟くんだ!」
部屋へ入るなり、不思議な低めの声がしてあの女の人が走ってきた。そしてぎゅっと抱き締めて来た。
「!!」
びっくりして声が出ない僕を余所に、その女の人は