『遠・距・離・恋・愛』
俊一君と別れ、ミキを探したけれど何処にもいなかった。


俺の母校でもあるこの学校の地理は分かるから、人が居そうな場所はだいたいわかってる。


裏庭、体育館の裏、倉庫、教室…。


人は居たけどミキじゃない。


俺は前に一度聞いた事があるミキの言葉を思い出した。


あれはまだミキと知り合ったばかりの、初めて二人で東京に行った時だった。俺もこの高校だった所で話しが盛り上がった時にミキは言った。


『放課後はよく図書室に行ってました。誰も来ることはなかったからすごく落ち着くんですよ。』


そう言ってたミキに俺は関心のない返事をしたんだっけ。


「図書室だ…!」


思い当たる場所はここしかないと急いで向かった。

一段飛ばしながら階段を駆け上がる。


息が少し乱れてきてる自分に体力の無さを痛感した。


“ここだ…”


図書室の前の扉で乱れた息を落ち着かせ、静に扉を開ける。


一番先に俺の視界に入ったのは、三上 亨だった。
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