『遠・距・離・恋・愛』
「ミキ、何か忘れ物か?…」


背中を向けていた三上 亨は俺をミキだと思ったのだろう。
でも、向きを変え俺の顔を見て彼の顔つきが変わった。


「やっぱり来てたんだ」


三上は悪びれた表情よりむしろ俺が来たことが邪魔みたいな顔をしていた。


「ミキと一緒に居ただろ?ミキはどこ?」


これでもかなり感情を抑えて喋ったつもり。
でも右手は拳を作っていて、いつでもアイツを殴れるよう静かに出番を待っていた。


「もしかして、俺とミキが一緒だった所を見てたのか?」


相変わらず三上は俺に対して喧嘩を売るような口調だ。


「ミキは何処にいるんだって聞いてるんだけど。」

「ミキなら窓から君が見えて慌てて外に出たけど。」


すぐにミキの元へ行きたいけど、コイツに一言言わないと気が済まない。
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