『遠・距・離・恋・愛』
「教師、辞めるって聞いた」


三上がまたフッと笑みを見せ、窓に身体を預けた。

「俺は君達が遠距離恋愛になる事をミキから聞いたけど?」


…………


…………


お互い何も言わず睨み合った。



「いいのか」


「何が?」


「やっとミキを手に入れたんだろ?それをまた手放そうとするのか?」


「ミキを物みたいに言うな!」


「アイツ…、ミキは無理してるぞ。お前はわかってたか?」


相変わらず見下すような話し方で気に入らない。


「今なら間に合う。」



真剣な目で俺を見る三上。



「ミキを一人にするな」



「なっ…!これはミキと二人で決めた事だ!ミキも納得してる。」



「ふざけるなよ!」



怒りが混じったような低い声。



真っ直ぐな三上の瞳は健吾を離さなかった。



健吾も負けじと三上を見る。



二人の間に見えない火花がぶつかり合う。
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