『遠・距・離・恋・愛』
「ミキは、そんなに聞き分けが良い女じゃないよ。」


力が緩んだ俺の手を離し、襟元を整えた。



「俺もミキの事を想っていた男だよ?これでも彼女の気持ちを代弁してるつもりだけど。」



「アンタに言われなくてもミキは絶対に幸せにする。アンタ振られてるのに、まだミキに気があるのかよ?」



「あぁ、あるね。まだミキのこと好きだ。だから君に忠告するんだ。」



「忠告?何をだよ。」



「遠距離恋愛なんてよせ。ドラマみたいな綺麗にうまく行くもんじゃない。」


再び二人に張り詰めた沈黙が訪れた時だった。



ガラガラっと扉が開き、息遣いが聞こえるほど肩を動かしてたミキがいた。



ミキは二人を見て何かあったなと察知してる様子。



ミキに気付かれるほど俺達二人は仲が悪い。



以前までミキを奪い合っていた二人なのだから―――――。
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