『遠・距・離・恋・愛』
何枚か娘の自然な動きを
カメラに収めながら 俺は思った。


だんだん娘は、母親に似て来たな、と…。


そう、娘とアイツを重ねながら写真を撮り続けていた時、不意に娘が口を開いて来た。



『ねぇパパ…、一つ聞いて良い?』


『ん?どうした?』


構えたカメラを降ろし、娘を見る。


『この前ね、私パパとママの寝室に黙って入ってしまったの…』


『うん、それがどうしたんだ?』


『ママのお気に入りの口紅を私も付けてみたくて、鏡台の引き出しを開けたの…』


『それで?』


『そしたら、そこに箱があってね、中を見たら写真が一枚出てきたの。』


『写真?』


『うん、パパが写ってた。少しピントが甘く感じたけど、その写真すごく大切にしてる感じだったよ。パパ、知ってた?』


いつの間にか俺と娘はまた浜辺に座り込んでいた。
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