『遠・距・離・恋・愛』
「俺…、本当は気付いてた、ミキの気持ち…」



「健吾?どういう意味?話しが見えないよ……」



抱き締めてるから見えないけど、きっと作り笑いしてるんだろうな…



「本当は離れるのが嫌なんだろ?」



「なっ……!!そんなこと……」



抱き締めた腕を力を込めて解いたミキ。



俺の顔を真っ直ぐに見て、俺は気付く。



「やっぱりな……」



「えっ…?」



「あの時と同じ顔。」



「あの時…?」



ミキは黙って俺の顔見ながら考え込んでる。



「俺がカンボジアへ行くか迷った時だよ。忘れたのか……?」



ミキはハッと思い出し、悲しい顔をした。



あの時、最後のチャンスで出したミキを写した写真が賞を取り、

有名な写真家からカンボジアで内戦の写真を取りに行こうと誘われた。
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