『遠・距・離・恋・愛』
「健吾さん」


「ん?」


「俺は若菜より一つ下だって知ってますよね?そのたった一年の時間がもどかしい気持ちになる時があります…。」


「俊一君?」


「どんどん若菜が俺から離れて行くようで、付き合ってても不安ばかりだったんです。別れようと考えた事もあります。でも…」


「でも?」


「若菜とお互いの気持ちをぶつけ合って気付いたんです。今までは自分のプライドだけで若菜と付き合ってたんだなって…」


「お互い好き合ってる、それだけで十分じゃないかって。先に若菜は社会人になるけれど、時間があれば逢えばいい、今まで以上に電話したりメールして不安な気持ちを埋めれば良いと思ったんです。」


そして俊一君は笑顔を見せ言った。


「好きって気持ちにプライドは必要ないですよ。本当に好きな人なら尚更です。」


目が覚める言葉だった。


俺よりも年下な俊一君が眩しく見える。


俊一君の瞳は、もう立派な大人の目だった。
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