三度鳴くまでに…
なんだか鼻歌さえ歌いそうになった時
「ニャー」
透き通るようなオレンジの家路に猫の鳴き声が響いた。
思わず振り返ると
「黒猫…?」
黒猫が夕日を反射させ、尚輝きを増した瞳で自分を見つめていた。
…いや、見つめているように見えたのかもしれない。
だが目が合ったと思った瞬間、ふいっと黒猫は目を逸らし塀の影に隠れてしまった。
やはり自分を見ていたのだろうか………。
なんだが少し不気味に思いつつも、そのまま家へ歩を進めた。