シンシア ( l )
既に右首には、一ミリ程の丸い跡が二つ付けられていた。
片方には、ピンクをベースに緑とオレンジの葉を散らした宝石オパールともう一方では、鮮やかな青をベースに緑の小島と濃赤の根っこのトルコ石があった。

六十度ずつ、円の左から黒くカウントダウンしていく。
「キュキュッ」 バタパタバタという音がした。 チクッ。

「うわっ・・・・・・!?」
首を押さえた手を確認して健は、床に倒れた。
見回りに戻って来た運転手と由実に声を掛けられ、支えられてバスに乗った。
そして酔い止めの薬を飲まされて爆睡した健だった。

山は、雪が溶けつつあり、墨絵のように成っていた。
せっかくの休みだというのにウォーキングをしている人が多く目に付くと程だった。
人口二十七万四千人、日本海側の陽炎県稲穂地方の高羽尾という健康推進都市をアピールをしている街である。 全国的には、豪雪地域で知られていた。

近くに妙高、火打、焼山、南葉山なとが見え、名所として金谷山に日本スキー発祥の地のレルヒ像、春日山に戦国武将・上杉謙信の銅像、本城町に松平忠輝の復元されたミニ三重櫓、そして日本三大夜景の三千四百本の桜 ソメイヨシノがあり、ハスが回りを固めていた。

この桜 今は、つぼみながらも満開に成ると九十万人もの人を魅了し、街を活性化させていた。

お花見の時期に間に合わせるかのようにして、飲み屋街と新しい駅の間に"レスティング ガーデン(憩えるお庭)"『ニースリーデポン』が建てられ、街の繁栄が期待されていた。
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