シンシア ( l )
一年経って一皮剥けた高校の元不良達が五人、居酒屋"竜宮城"でお花見と称して飲み初めてから一時間半、既に出来上がっていた。 皆ドリフの赤鬼ルックで漫才師並みに途切れる事なく喋っていた。

「あ〜あっ、酒は、上手いし、いい仲間で楽しいし、これって最高の贅沢っ」
「はは〜あったりめ〜だよ、このメンバーだぜっ」
「こんな可愛い不良いないぜっ」
「よく言うよっ」
「な〜な〜、隣のビルくらい楽に壊せるよなぁ〜」
「お〜・・・ほっほ〜、お前一人でやってろっ」
「ついて行けね〜」「ついて来てるよっ」
「フッ、そろそろ次にいこうぜっ」
和人、健、悟、行二、大介は、会話に花が咲き、会計を終え、そとに出た。

五人が人の間を紙一重ですり抜け、我が物顔で広いニースリーデポンの駐車場を横切って行った。
黄色い三日月が一瞬、充血した悪魔の目に変わった。
「ンガルルル・・・・・・。 ネーネー、一緒に遊ぼうよぉー。 (刺激が欲しいんだろ、このザコども)」
と怪物の叫び声の後に可愛い声が、そして囁きやざわめき。 地震や豪雨が立て続けに人間を襲った。 ーシャッフルー。
人々は、屋根を求めてビル街に入って行った。 采は、投げられゲームが始まったのだった。

一階の奥の警備室では、たった一人残された木村哲男 二十七歳が白人美女と悦楽の世界に身を投じていた。
愛らしい声と微笑み。 タイプの子だった。
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