お兄ちゃんの気持ち
予定日よりも早かったのに、2450グラムの小さな赤ちゃん。

もっと小さな赤ちゃんが出てくるのかと思っていたけど、泣き声も立派な女の子で。

何やらいくつか処置をした後、カオリのお腹の上に乗せられた。

「はじめまして、赤ちゃん」

生まれたばかりのわが子を抱いて、愛おしそうにそういうカオリがとにかく綺麗で。

「コウヘイ、パパだね、おめでとう」

にっこり笑いかけてくれたその顔に、押え切れずにキスをした。

「ありがとう、カオリ」

ありがとう、生まれてきてくれて。


予定日よりも早く生まれたので、検査などを受けたけどどこも異常がなくて。

カオリの処置があるからと分娩室から出された俺は、病室で待っていた母さんたちのところへ行って出産の報告をした。

「おめでとう!」

沢山のおめでとうに、俺の顔は緩みっぱなしで。

しばらくしてから駆け付けてくれたカナコは、泣きながら喜んでくれた。

カオリよりも先に、赤ちゃんが新生児室に入ったと聞いて皆で見に行った。

ガラス越しに見るわが子は、隣のベッドに並んでいる赤ちゃんよりも小さかったけど。

泣き声だけは負けてなくて、小さいながらも保育器に入らずに済んだ。
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