お兄ちゃんの気持ち
「俺も」

こんな風に、一人の女性を愛おしいと思ったことが今までにあったのだろうか。

感じたことのない気持ちに、腕の力を弱めることが出来ない。

「付き合ってください」

俺の目を見てはっきりと言った彼女は、真っ赤な顔をしていて。

そんな見たことのない顔に、嬉しくて再び触れるだけのキスをした。

「俺、年下だけど、いい?」

照れ隠しに自分でも予想外のことを口走ってしまい、しまったと思ったけどもう遅くて。

そんなこと、気にするのもおかしいんじゃないか?

「え、そ、そうだっけ!?」

俺の悩みは彼女には関係なかったようで。

まだお互いに知らないことが多い俺たちだけど、これからゆっくりと時間をかけて知っていけたら嬉しい。

今からが、俺たちの始まりだから。


→end←
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