お兄ちゃんの気持ち
なんていうか。

女の子を相手にしているこいつは、男の俺から見ても嫌みっぽくはなく、かっこよかった。

常に笑顔だし、受け答えも丁寧だし。

「時間が無くなっちゃって悪かったな」

食べている間は周りの女の子達も騒がないようで、落ち着いて食べることが出来た。

「いや、なんかすごいな」

まるでアイドルのような騒ぎっぷりはそれはもう異常で。

一緒に居ることで巻き込まれた俺だったけど、こいつの態度とかを見ていたら、気が合いそうだなって思うようになっていた。


「浅野くんと河合くん、素敵よね~」


わざとなのが、無意識になのか。

そんな言葉が聞こえてくるようになったのはいつからだったろう?

研修が進むにつれて、疲労が貯まっていくうちに女の子なんてどうでも良くなって。

一日が終わってから部屋へと戻り、浅野と二人で過ごす自由時間が唯一リラックスできる時間になった。

「何見てるの?」

持ってきた雑誌もすべて読み終え、やることがなくてぼーっとしていると、同じようにベッドで仰向けになりながら手帳を見ている浅野に声をかけた。
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