お兄ちゃんの気持ち
「え?」

俺の声に驚いたのか、手帳から俺に視線を移した浅野の手元から一枚の写真がはらりと落ちた。

「何、彼女?」

落としたことに気が付かなかったようで、隣のベッドに手を伸ばしてその写真をとった。

「あっ」

少し慌てた感じで体を起こしたけど、俺もそうそう返すつもりもなくて。

手にした写真は、卒業式なのか、胸元に花をさした女の子が二人で写っているものだった。

セーラー服に名札がついている。

・・・中学生?

え、ロリコン趣味なわけ?

写真に見とれてかたまっていた俺の手から、慌てて写真を奪った浅野はバツが悪そうに手帳にそれをしまってから引き出しに入れてしまった。

「いや、あの…勝手に見て、悪かったな」

人の趣味にあれこれ意見するほど子供じゃないけど。

普通に彼女の写真だと思ってみてしまった自分を、激しく後悔した。

「…妹、だよ」

小さくため息をつくようにしてそういった浅野を見ると、何とも言えない顔をしていて。

妹?中学生の?
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