お兄ちゃんの気持ち
お互い出張の度に朝まで飲んで。

仕事が出来てどんどん出世していく浅野と違って、支社にいる俺は頑張ってもしてれいたけど。

それでも、浅野から信頼されるくらいの業績は着実に残せていた。


「え、転勤?」

「4月から本社勤務だ」


転勤が決まった時、真っ先に連絡した浅野。

喜んでくれたけど、それ以上に嬉しかったのは俺だった。


「コウヘイ、カナコちゃんを紹介して欲しい」


ずっと思っていたこと。

会ったこともないのに、初めて見たセーラー服の彼女に俺は恋をしたんだ。

そう、きっとあれは一目惚れ。

いつも浅野から愛情たっぷりに聞いていた、写真の中のカナコちゃんが忘れられない。


一番最近見た写真は、セーラー服のころの面影を残してすっかり大人になっていたっけ。

実際に会う彼女はどんな感じ?

転勤よりも彼女に会えることの方が楽しみで。
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