お兄ちゃんの気持ち
切なさ
「浅野君が好き」
社会人になって1年目の夏。
同僚に誘われて参加した飲み会の帰りに、隣の部署だと言う女性に告白された。
短大卒で入社したという彼女は、俺より2年先輩だけど同じ年で。
今日の飲み会で一緒になるまで存在すら知らなかった。
「えっと、ごめん、名前すらわからないんだけど…」
告白してくれた女性に対してこんなセリフは失礼だと思ったけど、不器用な俺には上手な断り方がわからなくて。
少し酔っているのか赤くほてった頬にうるんだ瞳。
くりくりした大きなその瞳にまっすぐに見つめられてどきっとしたけど、それで彼女に対する気持ちが芽生えることもなくて。
「ごめん、でも、ありがとう」
戸惑っている彼女に謝ることしかできなかった。
学生のころ何度か告白されたけど、社会人になってからは初めて。
誰かに想われると言うのは悪い気はしないけど、それにこたえることが出来ない時の方が多くて。
沢山の仲間と一緒に騒いで飲むのは楽しいけど、こういう男女の問題が出てくると途端に引いてしまう。
さようならと走り去っていく彼女の後姿を見ながら、小さくため息が漏れた。
社会人になって1年目の夏。
同僚に誘われて参加した飲み会の帰りに、隣の部署だと言う女性に告白された。
短大卒で入社したという彼女は、俺より2年先輩だけど同じ年で。
今日の飲み会で一緒になるまで存在すら知らなかった。
「えっと、ごめん、名前すらわからないんだけど…」
告白してくれた女性に対してこんなセリフは失礼だと思ったけど、不器用な俺には上手な断り方がわからなくて。
少し酔っているのか赤くほてった頬にうるんだ瞳。
くりくりした大きなその瞳にまっすぐに見つめられてどきっとしたけど、それで彼女に対する気持ちが芽生えることもなくて。
「ごめん、でも、ありがとう」
戸惑っている彼女に謝ることしかできなかった。
学生のころ何度か告白されたけど、社会人になってからは初めて。
誰かに想われると言うのは悪い気はしないけど、それにこたえることが出来ない時の方が多くて。
沢山の仲間と一緒に騒いで飲むのは楽しいけど、こういう男女の問題が出てくると途端に引いてしまう。
さようならと走り去っていく彼女の後姿を見ながら、小さくため息が漏れた。