お兄ちゃんの気持ち
自宅にいたカオリが、突然の腹痛と共に破水したこと。

たまたま母さんがそばにいたので、病院の連絡後母さんの運転でここまで来たこと。

病院に着いてから、俺と義理両親に連絡したこと。

「旦那さんですか?いそいで着替えてください!」

「え!?」

慌てた様子の看護婦さんに言われるまま、スーツのジャケットを脱がされカバンごと母さんに預けた。

白衣のようなものを着させられて消毒してから陣痛室に通されると、少しだけ苦しそうにしているカオリがベッドにいて。

「カオリ」

「コウヘイ…」

汗をかきながら俺を確認して笑うカオリは、少し疲れた様子だ。

「少し見せてくださいね」

助産師と書かれたプレートを付けた女性がやってきて、足元から内診をする。

「ああ、いいですね。浅野さん、分娩室へ行きましょう」

今いる陣痛室の隣にある、分娩室と書かれた部屋。

ベッドのまま移動するかと思ったら、苦しそうに顔をゆがめるカオリを立たせた。
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