太陽の手
まだ中学3年生の幼い子供の私。
どうして神様は不公平なんだろう。
「蒼衣、そろそろチャイム鳴っちゃうよ!」
太陽が空の天辺を上がる昼休憩、あたしは友達の雪奈と屋上で昼寝をしていた。
もうすぐ真夏だと言うのにも関わらず、程よい気温でポカポカ気持ち良い屋上は、あたし達の秘密基地だった。
"秘密基地"と言うのは、屋上の出入り口には【立入り禁止】と大きな貼り紙がされているから誰も立ち入らない。
あたしと雪奈はそれを利用して昼休憩にはいつもこの場所に入っていた。
「んー…あぁ?チャイム?」
すっかり睡魔にやられてしまっていたあたしは、ブレザーのポケットに入っている携帯のディスプレイを確認する。
本当だ…もうすぐ1時。
1時になれば嫌なチャイムが鳴り、教室で古典の授業が始まる。
毎日嫌な授業を受けるのが日課だから、仕方ないかとサボる事もなかったんだけど…
「あたし、サボろうかなぁー…」
ふと考えてしまった事が声に出てしまった。
何だか今日は……サボりたい気分なんだよね。
外はこんなに気持ち良いのに、何で教室でクーラーも扇風機もない個室で勉強なんかしなきゃいけないんだろうって。
雪奈は驚いて寝転んでいた身体を起こした。