太陽の手
今年の春にあたしが優斗を放課後に振ったんだ。
後悔はしていないけど…優斗が最近不良化になったのは自分のせいなんだと思う。
荒れていつも先生に呼び出しを受けるし、挙句には警察にもお世話になる始末。
あたしが振ってから、優斗は変わった…
「そういえば、あんなに純粋な付き合いだったのに優斗くんを振ったの?」
いつも優斗の事で相談していたあたしは、理由だけ雪奈には伝えてなかった。
「優斗、好きな人がいたんだって…だけどあたしだけを好きになろうって頑張ってたんだけど無理だったみたい。優斗は優しいからあたしを振ったら悲しませるって思ったんだと思う」
今更こんな話したって何もならないのに、一度出した言葉から口が止まらなくなった。
雪奈は色々と付き合ってた頃を思い出しながら疑問を整理していく。
「…って事は優斗の為に振ったって事?」
「そう、あたしが振れば優斗は無理しなくて済むでしょ」
正しい道を通ってほしかったのに、何で優斗は悪い方に向かったの?
まるであたしの考えが間違ってたみたいに…
泣いて苦しんで別れたあたしが無駄みたいじゃん。
雪奈は不満そうな顔をしていたけど、あたしはこれで正解だと思った。
すると休憩終了のチャイムが鳴り、この話題は見事に消されていった。
「どうする?蒼衣サボる?」