Strawberry on the shortcakes



にやけそうになるのを必死で堪えると



「黙ってないで何とか言いな」



しびれを切らしたパッツン前髪が言った


「……付き合ってないデス」


この一言は すごく悔しくて


「もう、いいデスか?
私、教室戻ります……」


不機嫌に言ったけど


眼鏡の先輩を取り囲むように
3人は丸くなって


「ほら~。何でもないでしょ?」
「エミリは心配し過ぎぃ」


眼鏡の先輩
(エミリって名前なんだ)は目に涙浮かべてコクコクうなずいてた



私は そのまま校舎に向かって歩き出した



ザッ、ザッと一歩踏み出す度
砂ぼこりが上がって


エミリの涙浮かべた顔が頭から離れなかった



もしも球技大会で倒れたのが私じゃなかったら



藤代先生が他の女子を抱っこしてたら



私がそれを指くわえて見てたら



今頃 私はエミリになってた



そう思うと無性に腹がたつ



頑張って先生に近づいても


私は まだまだ


その他大勢の女子生徒の域から脱していないから



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